彼の想い

ワクチンのあと
久々に有休をとってのデートの予定の日。


ドライブして県内の滝を見に行こう、と
彼が車でうちの前まで来てくれることになってました。


彼の家から私の家は、車だと1時間くらい。
子供たちを学校に送り出すまでは私はバタバタで
彼が「今から出るよー」などのLINEをくれる時間は
私はLINEを見てる余裕はなく。


学校に送り出してやっと一息ついて
そうだ、LINEが鳴ってた、とスマホを見たら
最新のメッセージが彼からものすごく焦った様子で
「ごめんちょっと遅れる」と来てた。


珍しい。


今まで彼が待ち合わせに遅れたことってあっただろうか?
いつもいつも、きちんと時間通り(時間より前)に
余裕を持って到着してる彼。


どうしたんだろうとメッセージを遡って見たら
出発時間の40分前くらいから
断続的にメッセージが来てた。


「大変だよネックレスが無いよ」という
焦った様子のメッセージ。
その後も
「探したけどやっぱりないよー」とか
「とりあえず出発する」とか
そんな内容が続いていて


その後が「ごめんちょっと遅れる。」だった。


結局待ち合わせ時間に10分だけ遅れて到着した彼。
車に乗り込んで聞いてみたら
一度出発して途中まで来ていたけど
ゴミの日だったことを思い出して
ゴミ箱の中に落ちてるとか、掃除機で間違えて吸ってるとか
そんな可能性を考えたら
戻って確認しないではいられなくなったらしく
引き返して確認してたと。


何度も何度も謝る彼。
お風呂に入るときに外して、その後数日つけ忘れていて
今日つけようと思ったら、いつも置いておく場所になかったらしい。


こんなにも謝っている理由は
まだ私が既婚だった時に
指輪の代わりにお揃いでできるものを、と買った
ペアのネックレスだから。


リングがモチーフになっているネックレス。
いつか、ホントのリングをお揃いでできるように、と
願いを込めて買ったネックレス。


思い入れがあるから
私がすごく悲しむと思ったんだよね。


勿論、すごく残念だったし
今でも「ひょっこり見つからないかな」って思ってる。


でも、喪失感や怒り、悲しみみたいな感情は
全く湧かなかった。


このネックレスはお揃いで「一緒に付けよう」と買ったのに
結局私が身につけられたのは一年後くらいだった。


そのうち半年は、いよいよ離婚が本格的になって
リング型のネックレスは旦那に見られると
離婚に悪影響がありそうだったから。


残りの半年は
離婚してすぐ、いかにも「ペアネックレスです!」というネックレスを
して人に会う勇気がなかったから。


「離婚して間もないのに、もう彼氏がいるの?」と
思われるんじゃないかと、怖かった。


だから、離婚前も、離婚してからも
なかなかネックレスができなかった私。


それでも
彼は一人でずーーーーーっと
ネックレスをし続けてくれていた。


「一緒にしようね」と私から言ったくせに
いざ現実になったら、体面とか体裁を気にしてできなかった。


その間、彼から「ネックレスいつになったらするの?」と言った
質問も要求もされたことはなかった。


ただひたすら、私もネックレスをするようになるのを
ずっと待ってくれていた。



一年後くらいに、ホテルにネックレスを持って行って
「ずっと待ってくれていてありがとう。
今日からネックレス、しようと思う。
誠君が付けて?」とお願いしたときの
彼の嬉しそうな顔。



そんなことばかりが思い出されて

感謝の気持ちでいっぱいになって
このまま見つからなくたって
今度は私が一人でネックレスをすればいいだけ、と
一人でずっと待っていてくれた彼の想いに
今度は私が報いる番だと思えて
変な話だけど
ネックレスが無くなったことで
彼の愛情や気持ちを改めて感じて
自分がとても幸せなことを実感しました。


あんなに慌てている彼を見たのも
初めてだったし(笑)


感謝。