彼を初めて意識してしまった日

彼、誠君は同じ会社の違う部署の人です。


一緒に仕事をしたことがきっかけで、数年前からは一年に一度か二度
飲みに行くような関係でした。


仕事ができて頼れるカッコいい先輩、と印象は良かったけど
ただそれだけだった彼を男の人として意識してしまったのは
二人で飲んでいるときの彼の意外な一面がきっかけでした。


彼も離婚をしていて、お子さんたちは彼が引き取っています。
お互い子供の話をしたとき彼に娘さんがいることを知りました。
年頃の娘さんには、「買い物に付き合わされて洋服を買わされたり
良いように使われてるよ」と言いながら、まんざらでもない様子で。


「そんなこと言ってうれしそうですけど?」って聞いたら
仕事では見たことないはにかんだ笑顔で「だって、女の子は
やっぱり可愛いんだもん。お小遣いで買えよー、って思いながら
仕方ないなぁって結局買っちゃう(笑)」と。


この時のこの娘さんにメロメロな彼を見て、
私はすごくドキドキしてしまったのです。
仕事では見たことない、甘い顔の彼。
優しい眼差しの彼。


その夜を境に、彼のことを考えると
ドキドキしてしまう自分に、私自身が戸惑っていました。