過去の告白(とも編)



こんばんは。
つづき、と書いておいて、こんなに日にちが経ってしまいました。
続きが気になっていた方(居るのかな・・(笑)?)申し訳ありませんでした。


では、つづきです。
長いですがお付き合いください。


<なれそめ編>


誠君からの、告白を聞いた私はどこか冷静だった。
なんとなくだけど、誠君は過去に婚外恋愛をしたことがあるような気がしていた。
理由は分からない。ただ何となく。


この告白を聞いて、LINEを交換して以降、急激に仲良くなっているように思うのに、所々で牽制をされていた意味がようやく分かった。
誠君にしたら、自分が独身で相手が子供のいる既婚女性。
相手の相談に乗るうちに・・・というきっかけも一緒で、30年前のことと重ねずにはいられなかったのだと思う。


誠君は、私をたぶん好きになってきてくれてるんだと思う。
でも、それを認めると、また過去のときのような全員が不幸になる未来につながってしまうことが怖いのだと思う。


この告白をしたということは、曖昧なまま進みそうになっている二人の関係を止めなければと思ったということ。
もう、会えなくなるかもしれない、ということだと思った。


「ともちゃんを、同じような目に遭わせたくない」
そう言ってくれた。私のことを思いやって、彼は別れを選択しようとしてる。
私を修羅場になんて立たせたくない、辛い思いなどさせたくない。
私を守ってくれようとする、優しい想い。


でも、でもね。誠君。
貴方が守ろうとしてくれた私はね。
若い頃に、「修羅場」と言っていいほどの苦い経験をもうしてしまってるんだ。
だからね、そんな風に一生懸命守ろうとしてくれなくても大丈夫だよ。
私は、守る価値がある傷のない女の子じゃない。
それを分かってもらいたくて
私は、私の「修羅場」も告白することにした。



20代の独身の頃、職場の既婚の上司と付き合っていた。
つまり私も、婚外恋愛は今回が二度目。


その上司は奥さんと離婚して、将来私と結婚してくれると言っていたけど、付き合って数年たっても離婚の話は具体的にならず、私は年齢的な焦りもあり、上司と付き合っていていいのか疑問に思い出した。


上司が会社の中で重要なポジションに抜擢され、彼のチームを編成する際、私も上司のチームに呼ばれた。その際同じように抜擢された先輩と一緒に仕事をしていくうちに、その先輩に惹かれるようになっていった。


最初は、離婚をしてくれない上司との関係がつらくて、先輩に逃げたい気持ちや、上司への当てつけのような気持が無かったと言えばウソになる。
でも、先輩は知れば知るほど良い人で・・・私は上司ときちんと別れないまま、先輩と付き合いだしてしまった。


そして、事件が起こった。


上司に私が別れを打ち明ける前に、先輩とのことがバレてしまった。
そこから、上司の執拗な嫌がらせ、脅迫めいた行いが始まった。。。
部下である先輩は、「人の女を寝取るとは・・」と責められ、仕事でも不当な扱いを受けた。
私は、二股をかけていたことを責められ、上司との長年の不倫や挙句の果てに二股をかけて他の男に乗り換えようとした、とチームメンバーに吹聴され、私と先輩はチームで孤立した。


私にとって、職場は針の筵で、先輩だけが心のよりどころになっていった。

先輩がいてくれたら、どうにか頑張れる。
そう思っていたのに、先輩は・・・「もうあの人(上司)に関わりたくない。ともちゃんと付き合う限り、あの人との縁は切れない」と私の元から去り、会社を退職した。

チームメンバーからは白い目で見られながら、唯一のよりどころの先輩もいなくなり、あの頃は正直毎日をどうやって過ごしていたかよく覚えていない。
一日がとてつもなく長く感じて、特に、朝が来るのが遅くて。。

上司は先輩がいなくなった後、よりを戻そうと帰り道に待ち伏せしたり、一人で乗ろうとしたエレベータに強引に乗り込んできて、二人きりの密室なことを良いことに、抱きしめてきたり、時にはキスを迫ったりした。

今の私なら、セクハラで訴えるとか、そんな会社とっとと辞めればいいとか、いろんな解決方法を考えられるけど、当時の私はまだ20代で「不倫をしていた」という世間への背徳感から「この話をできるだけ誰にも知られずに済ませたい」という気持ちが強く、更に上司から洗脳に近い形で「二股をかけるなんてひどい女だ」と責められて、自分が悪いと思い込んでしまっていた。

上司がこんな風に豹変したのは、私が彼を裏切ったせいだ、とその時の私は思ってしまっていた。
上司は、自分の奥さんにまで私と何年も付き合っていたことを自ら打ち明け、私は奥さんから慰謝料請求もされた。
今考えると、貯金を奪うことで、私が退職するということを妨害するためだったようにも思う。

結局、この修羅場は上司が私の親に今度のことをわざわざ伝えたことで、親から実家に戻るように言われ、会社を転職したことで終わった・・・。


・・・あの苦い記憶をこうやって文章にしたのは初めてなのだけど、改めてこうやって書くと自分自身で「なんかの小説なの?」って思うような信じがたいことが、あの時は次々と起こっていました。

この打ち明け話を黙って聞いていた誠君。

とも「ね?私は、もう充分修羅場を経験してしまっているの。私のせいで、先輩をはじめとしたたくさんの人を不幸にした。上司の奥さんも、私の親も、チームのメンバーだって迷惑な話だったと思う。誠君は自分を『最低だ』と言っていたけど私の方がずっと最低だと思う」

誠「・・・なんか腹立ってきた」

とも「??腹立ってきた?・・私に?」

誠「違うよ!一番腹が立つのはもちろん上司。でも、先輩にも腹が立つ。どうしてそんな修羅場な状況にともちゃん一人置いて自分だけ逃げちゃったの?酷いよ」

とも「先輩は、私が上司と付き合ってるなんて知らなかったからね。巻き込まれ事故みたいなもので。。結局私の弱さがすべて悪かったんだと思う。上司と不倫をしていたことも、先輩に逃げたいって思ったことも。
そして、そんな過去があったのに、今こうやって誠君を好きになってしまっていることも。「普通」の人じゃ経験しないようなことばかり、経験してる。
私は・・何かが欠落してるんじゃないかって思うんだよ」

誠「何が欠落してるの?」

とも「分からないな。倫理観なのか強さなのか。。ただ、一人できちんと完結した人にはなれてないと思う。」

誠「・・私はこの先一人でいいかなって思って離婚したんだけど。いやつい最近までそう思ってたんだけど・・ともちゃんがぐいぐい閉まってたものを開けてくるから何か調子が狂っちゃったよ」

とも「私のせい?」

誠「そう。責任とってください」

とも「責任・・どうやって?」

誠「この先も一緒に飲みに行くこと。拒否権はありません。」

とも「・・もう会わないって話をしようとしてたんじゃないの?」

誠「そう思ったんだけど。なんか気が変わった。ともちゃんが会いたくなくなったって言うまでは、良いんじゃないかって」

とも「どうして、気が変わったの?」

誠「なんか・・ともちゃん危なっかしくて。一人で完結できないんでしょ?補完部分はどうするの?」

とも「えぇ・・一人で何とかしていくくらいしか、思ってなかった」

誠「一人で何とかできるなら良いんだけど。。もし補完が必要ならしばらくは私が補完するよ。いやじゃなければね。」

 この時のこの言葉は本当に本当にうれしかった。

とも「嫌なわけないよ(´;ω;`)」


この「告白」で、付き合う前にお互いのディープな部分を晒しあってしまった私たち。
でも、だからこそ、心の距離がぐっと縮まった気がする。
そして誠君の「補完するよ」の言葉は、まるでプロポーズのように、私の宝物になった。